ほぉっておいても大丈夫!

風呂が沸くまでのあいだに書く何か

どうしようもなさを感じて

      「作家の描きたい」がここにある!ってコピーはええな

秀良子『STAY GOLD』1巻読んだだけやけど、名作の予感です。少女まんが的な、もどかしくて二人の関係がなかなかすすまない、のっぺりしたつらさが感じられて、読んでて、いじらしくも楽しい。少年漫画のテンポの良さからしたら、このなかなか話が進んでいかない(二人の思いが重ならない)イライラは、最後いい感じのハッピーエンドになるハズという着地点でのカタルシスに支えられているのでしょうか。ぼくはそれがなくても楽しめますが。

構図としては、ひとつ屋根の下に住む、異母姉の息子である駿人(甥っ子)から優士(叔父)への幼い頃からの憧憬の積み重ね、あるいは当初からの強いリビドーが、中学生になったときに弾けた、さあこれからどうするという感じですかね。

ぼくが好きなのは3.5話。並行して、喫茶店での何気ない会話で叔父である優士の異母弟のコウへの、その友人日高からの秘められた想いが綴られているところです。表面的にはずっと気のおけない友人として付き合っていましたが、日高は心の奥底で恋心にフタをして生きてきました。それが、甥っ子(駿人)が同性愛者かもしれないぞという、友人(コウ)のつぶやきによって、日高はコウへのこれまでの想いと関係性を心のなかで反芻します。コウはとてもモテて彼女が次々できるのですが、それに対する嫉妬であり、同時に諦めも含まれる儚い願い。

何百何千 生まれてから 死ぬまで

お前が 無駄にする ただ1回で いいから

 それが、コウの「同性を好きになる気持ちも全くわからんでもないし 日高は?ぶっちゃけ人生で1回くらいそっちもありかなって思うときない?」という質問に、(彼はすぐ用事ができて去っていってしま)ひとり悶絶する日高がかわいくてたまらなかったです。「なんだって なんださっきの なんつったよ 1回くらい? 1回くらいいいかな…? いいのか? そんなもんなのか? よくねーだろなんだこれドッキリかよ つーかもしかしてバレてるってこと?どこまで?いつから? いやでもバレたとしてのあの発言だったらそれってどうなの(中略)どうもこうも もう何年も前にあきらめて 一生友達としてそばにいられたらそれで いいと 思って今日まで」

コウが席をたった直後に、倒れ込むように机に突っ伏すまでのコマ割りのセンスもいいなーって思いました。バレてるかバレてないかわからないようなコウの表情の描き方もいい。

若さか

無知か

混乱か

それはまるで 嵐のように

 駿人×優士での二人の思いとは裏腹な行動とスレ違いも気になりますが、はてさて。

 

STAYGOLD 新装版 1 (onBLUEコミックス)

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