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ほぉっておいても大丈夫(仮)

風呂が沸くまでのあいだに書く何か

丸刈り

         突然、『~である』調で書きはじめるように

そろそろ髪をなんとかしたいと思っていた。

一時期の服にお金をかけていた頃からするとファッションにはそれほど頓着しなくなってから、美容院にも行かなくなっていたが、自分で切ると同じような髪型にパターン化してしまうことと、外で切ってもらうと髪型が整うだけでなく、こころもセットアップし直されるされるという効果も兼ねて「どっかで切ろう切ろう。」と思っていた。

何かを読むと散髪という言葉に引っかかり、待ちゆく人の髪型を気にする日々。

しかし正直、新しくサロンやバーバーショップに行くのが億劫だった。2年くらい行っていないと、最後にどこで切ってもらったかも忘れている。

髪を切らなくちゃ 髪を切らなくちゃ

と思っているうちに髪が伸びて

まあこれでもいいか

と思っているうちにまた髪が伸びて

また今日も

髪を切らなくちゃ 髪を切らなくちゃ

と思っている

              (髪/村椿菜文『神様は7日目に休んだ』)

というように、日々が過ぎていって、今朝来るべき時が来たようで、目が覚めると髪を切りに行こうとまず思った。

が、サロンを探して、電話して「岡ですけど、予約したいのですが。」「初めてです。」と言った電話でのやり取りから、美容師さんと髪型を相談し、切ってもらっている間の雑談のこと、昨日風呂に入らず寝てしまったから今日髪の毛洗って行ったほうがいいかな、でも向こうでシャンプーしてもらうしな、などと考えてしまい「これはアカンぞ。」と思っていたら、矢も盾もたまらず風呂場に向かいバリカンを手にしていた。

つるつるボウズにするのに抵抗はあったので、憶測で7mmにしてみるとざっくりいってしまったので、どうしようと思いながら、「あ、これボウズで後頭部は完全に残すちょんまげにしようかな。」と思ったが、ひとりでは難易度が格段に高いため、少しだけ濃淡をつけた。ほぼほぼボウズの出来上がりである。

切ったあと、自分の頭の形がそんなに良くないことを思い出して触ったり、頭皮を伸ばそうと試みたりしたが、頭の形が変わるはずもなく、21歳くらいの満面の笑みを再現しようと笑ったら、でこぼこした人生を経たまぎれもない現在の自分の翳のある笑みがあった。

思えば、人生の選択なんてちょっとした勢いである(こともある)。あの時ラジオを始めたのもちょっとした気まぐれで、島に移住したのもハローワークでの数秒の検索のおかげだし、あの時女の子を振ったのもなんだか「アカンわ。」とか思ったからである。それは、この時家で髪切った後へらへら笑っているボウズ頭と同じく、ただの偶然と勢いの結果であり、そこにはそんなに秩序や優劣なんてない。朝起きてすぐ啓示を受けたように髪を刈るかのごとく、これまでうっかりいろいろやってきたんだなと、そしてこれからもうっかりいろいろやるしかないんだと腹をくくりたいのだ。くくりきれてないけど(これからくくってゆくのだ、たぶん)。

そんな感じで文体を「~である」調にしてみたが、どうでしょう。

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